東日本大震災発生当時は仕事の最中でした。
都内だったので身の回りの大きな物損の類は見受けられませんでした。電車通勤ということもあり交通渋滞に巻き込まれることもありませんでした。ただ発生当日は会社に泊まることになりました。
当時からテレビを所有してなかったのでPCやラジオで状況を把握していました。発生現場の被害状況、電力不足、放射線量等々耳にしたことのない情報ばかりだったことを憶えています。
しかし何より強く憶えているのは、自分の周囲では発生前後で生活に何の変化もなかった、ということです。
あれほどの自然災害がありながら翌日は欠勤する従業員もなく粛々と業務をこなしていたのです。発注した資材の納品も問題なくあり、こちらからの商品の発送もしていました。
社屋のエレベーターが止まっていたので上階の他部署へ納品された資材を運ぶ作業を手伝ったのですが、それをきっかけとした他部署の人たちとのコミュニケーションもなく震災以降も変わらず他人行儀の対応。
そして半年が経つ頃には節電で消灯していた街明かりも元通りに煌々とし始めたように記憶しています。
どうやら人や社会は努めて変化をもたらさないように動くものらしい。
良く言えば恒常性のようなものがはたらいていると言えます。
その反面今までと違う事象を排除する力もはたらいているとも捉えられます。
被災されて否応なしに日常が激変してしまったという方々の目にはどう映るだろうと思いつつ、自身も変わらず通常出勤をしていました。
衝撃的な出来事は転機にはなり得ない。
十年以上経つ今もあの違和感は拭えません。