子供の頃の嬉しかったこと、楽しかったこと、もっとやりたかったこと、それらを思い出しているとまた別の事が思い出されます。
あの頃それらよりも優先させてやらされていた事、やりたくないと申し出ても一切聞き入れられず続けていた習い事の数々。
金(授業料)を出すのは自分達(親)だという理由で、希望した高校への進学は受験すら許されなかった事。
精神的に追い詰められて登校を拒否しても話も聞かず無理やり行かされた事。
いつの間にか自分の意思より親の考えや顔色を取り繕う事が生きるうえでの正しさとなっていました。
自分の意思のない方向へ進むと、やることなすこと全てに身の丈に合わない間違った目標を立ててしまいます。
また何を行うにしても「今、自分はどうしたいのか」を決断のポイントにすることができなくなって行くのです。
そして未来を見据えるために現在の在り方から考える、という生きるうえでの基本的な思考ができない状態で成人を迎えることになります。
しかしそれでも今取り組むことを頑張ってやり続けていればいずれ何かしらどうにかなるものだと思っていました。
なりませんでした。
心身ともに支障をきたしてようやくそれに気付いたのです。
思い起こせば「それ」はすでに10代の終わり頃から発現していました。
「これは違う」「こんな事やりたくない」「もうやめて」等々。
「こころの声」というものがあるとしたら20年以上自分はそれを無視していたことになります。
気付いた今、自分は自分に何をしてあげたら良いのか、そして「こころの声」に向き合うことに決めたのです。
では「こころの声」とはどこから発せられているか?
それは子供の頃の自分が最もそれに近い言葉を発していると思いました。
自分でもないがしろにしたあの頃の自分の意思の中にそれはあるのだと思うのです。
当人の記憶の中に存在する子供の頃の自身をこの本では「インナーチャイルド」と称しています。
図らずも今の自分の有様とリンクしている内容でした。
また今の自分の在り方、考え方に対し「それで良いですよ」と応じてくれたような内容でもありました。
このように極めて個人的な経験から興味を持って読み進めることができた本なので、広くお勧めできるとは思いませんが、初版から20年ほどなので狭く深く支持を得ている本なのでしょう。
エピローグの項だけでも是非。